030609

あしたのジョー (1)  たまたまマンガ喫茶で手に取ったのが運の尽き。萌えまくって読み切ってしまいました、その名も「あしたのじょー」!(検索対策でわざと間違えておきます。)
 自分でもびっくり(笑) だって私、スポーツマンガって肌に合わないんですよ。打算的な人間なので(笑)。これはね〜、多分死ぬほど語り尽くされたマンガでしょうから、今更書くのも気が引けるのですが・・・・。ここから先は、力石の死因を知っているような人は読まないで下さいませ。丈×葉メインなので!! 往年のファンの方は特に!!ジョーをバカにするのか!とか言われるのが非常に怖い・・・。どうやら、学生運動とかの年代のバイブルだったらしいのです。若い(?)小娘の感想だと思って鼻で笑って頂いて結構です。
 さて。ここからは完全ネタバレ。嫌な方は読まないように!!

 そもそも私は、あしたのジョーに女性キャラがいたこと自体、知らなかったですからね〜。丈と葉子が出会ったのは、家庭裁判所! なんて素敵なんだ(笑) 連載開始当時、丈は15才くらい。ケンカが強い不良・・・というかチンピラ? 天涯孤独で自由を求めて施設も脱走、不良マンガのような男気もこの頃はなく描かれています。弱い犬ほどよく吠えるという感じで、周りに対して尖ってばかり。私はファイトマネーを孤児院に寄付していると思っていたので(どうやらタイガーマスクと混同していたらしい)、結構びっくりしました。腕を見込んだ丹下にボクシングを誘われても、けんもほろろ。貧しい町に流れ着いて、近所の子供を孤児に仕立て上げ、孤児院をつくるというデマの記事で寄付を騙し取った罪で捕まるのです。セコイ・・・・・。

 その裁判中、傍聴席に入ってきた長い髪の美人。年は丈より2,3才は上っぽい。それが丈の記事に寄付して被害にあった白木財閥の孫娘、白木葉子。 それまで怒鳴り散らしていた丈が、2コマも呆然と葉子に釘付けです。はっはっはっ、一目惚れ?! いきなり下克上愛の香りが漂ってきました!!! これはかなり手の届かない物件です! この時丈は、葉子の上から蔑む視線が、なまじ美人なだけに突き刺さったそうです。これ以上ない最悪の初対面です。
 この罪で丈は少年院に送られます。自分の心以外に従えない一匹狼、いわば読者の男のロマンを一身に背負った丈は、案の定周りと衝突していじめられるのですが・・・・、雑巾を口に入れられたり、殴られたり、豚の糞を素手で集めさせられたり・・・・意外に普通?(笑) 麻宮サキの所(私の中のワースト1)は越えなかったですね〜。
 このままでは丈は性根まで腐って終わりだと恐れた丹下は、葉書を送ります。その内容は、「あしたのために、その1 右フックは云々というような、ボクシングのお手製通信教育!!! 挨拶文くらい書けよ!(笑) いや、これには度肝抜かれました・・・。でも、「あしたのために」という希望は素敵だなと思います。丈にはまだ通じませんが・・・。

 そして丈が脱走を企て、それを阻止したのが、あの私でも知っていた有名な力石です。初めて他人に完全に負けて、復讐に燃える丈。この二人、最初はこんなにスポーツマンシップゼロだったんですね・・・・。ようやく丈が丹下の葉書に従いだします。まだ私怨だけどね(^-^;;。
 そこへ・・・葉子が再登場! なんと彼女、寄付だけではなく、劇団を率いて慰問して回ったりもしていたのです。でもそれだけならともかく、自分で主役の慈悲深い聖女を演じるってのはどーでしょう・・・(汗)。丈に偽善者と言われても仕方ないかも。「あんたは自分のためにやっているんだ」これは丈の台詞ですが・・・私が想像するに、あの時代の財閥令嬢なんてお飾りとして扱われてるに違いありません。そんな中、一度何かで感謝されて、それに充足をおぼえて、エスカレートしていったのではないかな。だって、葉子は優位に立っているのに、全然幸せそうじゃないもの。丈は根が真面目で、自分が100%の気持ちで生きているだけに、相手もそうでないと受け入れられないのでしょう。この潔癖さ、私も十代の頃なら共感したかもしれません。今読むと、いいじゃん、いつか本物になればさ〜って感じです(笑) ・・・・この辺りの、自分から譲って他人と折り合うことを知らない性格は、最後まで災いします。
 さて、葉子お嬢様を侮辱されて黙っていられないのが力石です。この男は、出所したら白木財閥会長が彼のためにジムを作って、プロボクサーに戻ることになっていたのですから! ちょっと無理矢理な設定じゃないか?!(笑) なぜ、白木家はそこまで力石に肩入れするのか説明がない・・・。ま、いいか少年マンガだから。
 二人にケンカさせる訳にはいかないので、所内でボクシング大会が開かれます。リングを用意する葉子に、これまた男の勝負に出しゃばるな!とイラつく丈。「どうしていつもイライラしているの?」「なめられないように、プライドを守るために必死なんだ!」「ちっぽけな人ね」・・・・葉子・・・しっかりと侮辱には侮辱でお返し。やはりお嬢様は気が強くなくてはいけませんが、葉子の気丈さはまた格別です。野獣だの死神だのと呼ばれるようになる丈に、怒鳴られようと負けません! 勿論、圧倒的優位な立場にあるからですが。気にくわない奴は拳で黙らせてきた丈が、流石に暴力は振るえないし、口では負けるし、葉子を黙らせることが出来なくてイライラしっぱなし。以来、この二人が顔を合わせると毎回ケンカ(萌) そのくせ、葉子が酔っぱらいにからまれると、「やめろ!」と怒鳴るしね〜どっちなのよ丈(笑)

 丈は全編に渡って「女のくせに」とか「男の世界に口出しするな」とか葉子に怒鳴り続け、突き飛ばし、挙げ句に水をかけたことまであって、普通なら同じ女としてムカつくのですが、・・・・・あまりに丈が葉子の顔を見ただけでテンションMAXになるので・・・あんた・・・それほどまでに葉子のこと、女として意識してしまってどうしようもないのねって感じ・・・(萌)

 結局二人の勝負は引き分けでシャバに持ち越し。しかし、ボロボロになりながらも何度でも立ち上がる丈の姿は、元ボクサーの力石には悔しさを残し、葉子には強烈な印象を残したのです。

 そして色々とあって、プロボクサーになれた丈。丹下さん、橋の下の自分のバラック小屋を、ジムに建て替えたのには驚いたよ・・・・。 だって、寝泊まりする屋根裏まであるんですよ! 橋の下に2階建てを建築! ありえねぇ!(笑) でもその気持ちは丈にやっと届いたのでした。ボクシングによって初めて人に認められ、社会に居場所が出来、愛された喜びを知る丈。生きること=ボクシングになっていきます。この辺りから、私も丈を好きになってきます。
 一方力石は白木ジムで練習をし、・・・なんで白木家に住んでるんだっ?! 同じ年頃の男女が・・・いくら大豪邸だからって・・・鷹揚すぎるぜ、白木家。力石ときたら、顔に似合わず「さあ行きましょうお嬢さん」と葉子の肩を抱いたり、葉子が食卓に着く時、椅子をひいてエスコートしたり、紳士ぶりを発揮。葉子は「力石くん」と君付けで呼んでいる・・・。婿か、君は・・・。

 プロのリングで決着をつけるため、矢吹に合わせて2階級減量する力石。何キロなのかは知りませんが、自殺行為らしいです。葉子は始めは必死で止めますが、やがて根負けして協力することに。こういう時、私は2階級違うなら、力石が一つ落として、丈が一つ上がればいいじゃないかと思うのですが、力石は、太った矢吹なんて相手として嫌なんですって。丈は、この試合に勝って、次は自分が2階級上がって再戦とか考えているし。ま、それが男の世界というなら、いいけども・・・・・。
 「あしたのジョー論」吉田和明・著に書いてありましたが、この時、丈は単に自分より強い相手がいるのが我慢ならなくて、力石との男の勝負としか思っていないが、力石は、それに加え葉子によりふさわしい男になりたかったと書いてあります。その意見、私ものった! 確かに、力石しか見ていない丈に対し、力石は、これから自分がチャンピオンになり、富と栄光を手に入れる夢を葉子に語っています。そして、その暁には財閥令嬢である葉子に手が届く・・・・と考えていたのかもしれません。葉子が丈を意識する度に、力石は敏感に感じ取っていますし。だから、自分が減量してでも、葉子の前で万全の状態の丈に勝つ必要があったのでしょう。

 さて、結果は皆様ご存知の通りです。有名なシーンですが色々と知らなかった意味がありました。あの鼻っ柱だけは強い丈が、自分が負けた相手を認め、自分から握手を求めるというのは、かなりすごいことだったのですね〜。そして、控え室に戻り、最高のライバルを得た喜びをかみしめる丈に、訃報が知らされます。その時の絶叫は、まるで資料室でのヒカルのよう。孤児として人々に遠巻きに接してこられた丈にとって、初めて魂ごとぶつかり合い、認め合った相手を、自分の手で殺してしまったショックは激しいものでした。

 力石の控え室に行く丈。減量に協力した自分を泣いて責める葉子に、会長が「自分を責めるな。おまえが密かに絶食して力石くんと苦しみを共有していたのを私は知っている」と慰めると、驚いた顔で葉子を見つめる丈。このコマは、何気ないコマですが、ポイントです! 初めて、丈が葉子を少しは認めた瞬間なんじゃないでしょうか。それというのも、その後、力石の葬儀から帰ってきた丹下に、丈は「葉子泣いてたんじゃないか」と心配しています。こんな優しい台詞、初めてじゃないですか?! 以前のように、偽善者とは思っていない証拠だと思うのです。普段怒鳴り散らしてる割に、女の涙には弱いみたいです(笑)。ただ、ここで認めたのは葉子の力石に対する悲しみであって・・・・完全に勘違いしたんじゃないかと・・・・・。いや、葉子も力石を好きだった可能性もありますが、・・・どうかなぁ。減量に耐えた姿を尊敬はしていたと思いますが。力石といる時、葉子は自分のペースを保っていたので、私にはあまり恋という感じがしないんですよね・・・。もっと長く一緒にいれば、尊敬から愛に変わったかもしれませんが・・・・。

 その後、力石を殺したショックでボクシングを捨て、酒に溺れようとする丈を見て、葉子は激怒。そして、ここはかなりの重要なセリフでしょう。要約すると「待ちなさい矢吹君、あなたは力石君を死に追いやっておいてそんなことしていい身分ではないでしょう。神聖な負債があるはず。自覚しなさい、あなたはリングの上で死ぬべき人間なのだと! 逃げるなんて許しません!」という感じ。命令口調が葉子らしいね・・・・。力石を愛していた(と丈は思っている)葉子にこれを言われては、かなり胸にこたえたようで、リングに戻る気になります。前出の本では、「葉子にふさわしい男になりたい」という気持ちもあっただろうと書かれています。・・・・その意見のった!!(笑) でも、このセリフ。葉子は後で死ぬほど後悔するのでは・・・・・(T・T)

 しかし、気持ちは立ち直っても、トラウマで人の顔を殴れなくなってしまった丈は、当然勝てず、どんどん無様に落ちていき、もう誰も丈と試合をしようとはしません。そうなると葉子は自ら白木ジムの会長兼プロモーターとして試合を開催し、丈の闘争心が奮い立つような強い相手を呼んできて、尚かつ、周囲に不自然だと思われないような丈がリングに戻る筋書きを企むのでした。あちこちのボクサーやジムを計画通りに操る、冷たい美貌にうっとり。

 もう、丈はいつだって葉子の顔を見るだけで、今度は何を企んでいる!と、ピリピリして大変(笑) リングの上からも、葉子チェックを怠りません。葉子が見知らぬ外人男を連れていると「誰だあいつは!」と、試合の最中だってのに、気にしまくり。 結局は葉子は賭けに勝ち、丈はまんまと昔の闘争心を取り戻し、トラウマから脱します。なのに丈は、「いとしい力石を死に追いやった俺がのうのうと生きているのが我慢ならないのかい」なんて思ってるし。そのくせ、自分が熱望する試合が葉子のプロモートで実現するとなると、「あんたはヒョイと現れては、運命の曲がり角で待ち伏せて俺を引きずり込む、まるで悪魔のような女だ。時々女神にも見えるのがやっかいだ」なんて言うし。(本が手元にないので確かめられないのが辛い・・) いいよな・・・悪魔のような女・・・言われてみたいものです・・・(無理) つまり、このマンガの話の展開は、葉子によって動かされていると言えます。
 この辺りになると、丈も20才位になって男らしくなってくるので、見た目にも萌えられるようになります。あの絵柄に見慣れてくるとも言いますが(笑)。

 その死闘を繰り広げた後で、具合の悪い丹下の代わりに、珍しく丈がファイトマネーを受け取りに行くシーンがあります。折角丈が普通に受け取りに行ったのに、激闘の余韻でぼんやりした状態の丈を見て葉子がせめてもの気持ち・・・とファイトマネーを多めに書いたからさあ大変。「どうしてあんたと俺はまともに会って話すことができないんだ! そっとしておいてほしいものを、いじくりまわすからだ! 施しのつもりか! 俺はあの試合で再起不能になってもいい位満足しているんだ!」という感じ。・・・・自覚があるんだ、ケンカしてばっかりって・・・そして、普通に話せればいいのにと思ってたのね(萌) 別れた後で後悔していたのね!(萌)
 この時は葉子が悪いですよ、まあ、プロモーターとしてお金で気持ちを伝えようとするのはある意味当たり前かもしれませんが・・・・・、ここはひとつ、「矢吹くん、この間の試合素晴らしかったわ」と一言いえば、丈はきっと、「あんたがそんなこと言うなんて気味が悪いな」とか「別に、あんたには関係ない、俺は男の勝負をしただけだ」とか「ふん、そんなに儲かったのかい」とか照れ隠しに怒鳴って、密かにスキップで帰ったと思うのに・・・。

 さて、話は丈が出所した頃に戻りますが、もう一人、女性の登場人物が現れます。バイト先の乾物屋のセーラー服姿が可愛い女の子、紀子です。葉子が沙織お嬢様だとすると、紀子は美穂ちゃんみたいな感じですね。既に丈×葉子推進委員会会長に立候補する気分だった私は、紀子の出現にやばいっと思ったのですが・・・初対面時の丈の言葉は「葉子?!」でした。葉子に顔が似ているという設定だったのです。(絵柄ではそうは見えませんけれど(爆) 他の誰かに似ていると言われた時点で、紀子には悪いけど、紀子の線はないな〜と思いました。それにしても、嫌々バイトに来たくせに、紀子を見た途端に、なによ、あの丈のご機嫌ぶりは・・・。珍しく浮かれちゃって・・・。葉子と同じ顔に優しくされて、そんなに嬉しいか・・・(笑)
 殺伐としたジムに、差し入れを持ってきたり、掃除をしたりする紀子は、いわば穏やかな愛情に満ちた普通の幸せの象徴。そんなもの一つも持って生まれなかった丈は、きっとものすごく家庭の愛に飢えすぎていて、欲しがることも上手に受け止めることもできなかったのでしょう。掃除してもらっても、紀子の愛情を感じても、「ありがとう」の一言も言えないんですから恥ずかしがりにも程があるってもんです。嬉しかったとは思いますよ、丈、紀子には優しかったし。紀子の愛情表現には、わざと遠ざけるような言動をとっていましたが。(乱暴な口をきかないというだけで、優しいと思うのも変ですけど、何しろ基準(葉子)が低すぎるから・・・(笑) 丈は根は優しいんですよ。近所の子供も可愛がるし。葉子もボクシングにからんでさえ、いなければね・・・(そしたら関係が無くなってしまうけれど・・・(苦笑)。

 「野性」「ケンカ屋」「死神」だのと言われ、破竹の勢いの強さの丈ですが、異変が起きます。身長が伸びちゃったんですね(笑) どうりでようやく格好良く見えてきたのに。それなら階級が上がるのが普通なのに、「バンタムは俺と力石の古戦場だから」などと、読者が酔いしれる理由で拒否します。丹下が必死で止めても、もはや理屈では敵いません。それに・・・後から思えば、この頃からパンチドランカー症状が出てきてたのではないでしょうか。丈が一人、思い詰めた表情をするシーンが増えてきます。

 前述の本では、こう分析されています。ラスト、丈は燃え尽きて(おそらく)死んだ。それは症状のせいではなく、「丈は燃え尽きるべきだ」という読者の願望が、症状を生み、悪い意味で大人になって社会に妥協して生きる道を許さなかったという、この分析は、正しいというか、当たり前というか・・・・、丈だけでなく、悲劇的なラストシーンを持つ他の作品にも当てはまることだと思います。
 ここで私は、この丈の運命が決定づけられた瞬間は、パンチドランカーになった瞬間ではなく、紀ちゃんが去っていった瞬間だと思うのです。
 このマンガの中で、丈が穏やかにちゃんと自分の気持ちを語ったのは、この回だけじゃないかという、紀ちゃんとのデート(?)、偶然公園行ってお茶して二人で歩いたシーンがあります。「最近の矢吹君を見ていると辛い。ボクシングをやめない?」という紀ちゃんの言葉に、「力石たちの事を思うと、辛いからといって止めるわけにはいかない。俺には負債がある。それに、試合で真っ白になる程、完全燃焼する瞬間が好きなんだ」と、かなり端折ると、こんな感じで語ります。紀ちゃんは、「気持ち、分かるような気がするけど、ついていけそうにない・・・」と走り去ってしまいます。
 あ゛ーっっっっ、あほかーっ、紀子ーっっっ。紀子としては、「紀ちゃんの与えてくれる幸せなんか必要ない」と言われたように感じたのでしょうが、・・・・紀子のばかっ。あの口べたな丈がここまで一生懸命真面目に自分のボクシング(人生)について語ってくれたという、その価値に気づこうよ〜〜。丈は紀ちゃんが好きだから、100%でぶつかったのに・・・。
 結局、紀子は後に、丈の友達と結婚します。暖かく(始め丈のことを好きだったことも知っている上で)紀子を愛してくれていて、家業も継いでくれる人と・・・。その選択は、女としてかなり共感できてしまうから、責めはしないけれど・・・・・。丈の結婚式での祝辞の時、いつも向日葵のようだった紀ちゃんが初めて見せた冷たい瞳について、前述の本がまたこれ、完璧に解説しているのですが、「つつましい幸せ」を蹴った丈に対する蔑み、葉子のようには丈の世界についていけない自分への蔑みだと。あなたは一人で不幸になればいいという想いは、裏に愛情が残っているからこその想いでしょう。紀子が、あの時、丈についていけないとしても、丈が紀子に分かって欲しくて一生懸命説明したのだと気が付いていれば、結婚式で、そんな冷たい目をしなくてすんだのに。「ごめんね、矢吹くん」という悲しい目をすることができたでしょうに。

 もし、あの時、紀子がその暖かい愛で丈のボクシングを理解し、「わかった。疲れた時は、私のことを思い出して。いつでも矢吹くんのこと想って待っているから」と言っていたら、紀子は丈の世界の人間として丈の心の奥深いところに、葉子と同じ高さで対極の位置に並び立ったかもしれません。そして、ボクサーとして再起不能になった丈にとって(そして読者にとって)、最後に帰るところ、未来の幸せの象徴になったもしれません。

 まあでも仕方ないかな。以前丈が葉子に対して「悪魔のような女だ(以下略)」と言った時、紀子はその場にいました。ただでさえ丈は、ボクシングというどんな美女も敵わないものに魅入られているというのに、そのボクシングを手に握って丈にちらつかせる、本物の美女がいたのではね・・・。
 丈はどちらが好きだったのか? その問いに私なら両方・・・いやむしろ紀子か?と答えます。家庭的で可愛くて、いつも側にいる紀子のことは普通に意識してたんじゃないかな。丈には野性的な猛々しい部分と、意外に優しい部分とありますが、紀子には優しい部分でつまり理性的に接していたことが多いですね。葉子は・・・財閥令嬢&プロモーター社長と一匹狼ボクサーという社会的な差に加え、年上だし、葉子が何を考えているのか丈は理解できないし、話し合うこともできない、遠い心の距離。そのくせ突然現れては丈の運命をひっくり返していく、丈の存在の根底に関わる手に負えない女。自分が死に追いやった男の恋人だった女。それはもう、恋なんて甘いものではなくて、葉子の取り澄ました美貌を見ると崩してやりたくなる、そんな激しい本能的なものを希望。

 そして結局、紀子は去り、丈には最早ボクシングで燃え尽きる以外の道はなくなった、そういうことだと思います。流石に丈もこの後はちょっと荒れてましたね、妙に試合をやりたがったりして(笑)

 ボクシングにのめり込んでいく丈を見て、今度は葉子が、不安に思い始めます。「もう引退したら」と言うと、丈は「紀ちゃんと同じ事言うんだな。なんだかんだ言っても、女はいっしょなんだな」「紀ちゃんって?」「近くの乾物屋の娘だよ」「ああ・・・」 な、なんか・・・・ドキドキする会話です・・・。「怖いのよ、まるで矢吹くんが死に場所を探しているみたいで」「あんたが言ったんだぜ、リングの上で死ねと」「やめてよ、もうその話は」 アダルトな雰囲気です・・・。・・・車で送るという葉子の誘いを断り、歩いて去っていく丈。こんな貧富の差にも萌えたりして、緊迫したいいシーンなのに・・・・なのに何故・・・このシーンの間中、丈は草をくわえているんだーっっっっ(T・T)(笑) シリアスになりきれない・・・。20年前の・・・表現方法が憎い・・・。

 さて、そんなこんなで東洋チャンピオン戦。これはかなり丈×葉な展開の萌え試合。減量に苦しみ抜いた丈の控え室に、葉子が訪ねてきます。案の定、「ちゃらちゃらおしゃべりする気分じゃねぇ!」とか「女のくせに控え室なんか来るな!」とか、「家でぬいぐるみでも抱いてた方がお似合いだ」には笑いましたけど・・・・あんたどういう女性観してるの・・・・(笑)。まあ、葉子が美人だってことは、認めているのね。そのくせ、葉子が「今日の試合は見る気がしないの・・・。大切な試合なのにごめんなさい。頑張ってね」と葉子が去ると、びっくり呆然。置いて行かれた子供状態。葉子は試合を見るもんだとばかり、思っていたのね・・・・。そんなに見られていると違うのかい・・(萌) 確かに始めの頃から、すました顔の葉子に目にもの見せてやるってノリでリングに上がって、段々試合の壮絶さに葉子が震えると満足気な所はありましたね(笑)

 さすが相手は東洋チャンピオン、丈がダウン寸前という時に、葉子がリングサイドにやってきます。「棄権させて! 力石君がなぜ死んだのか忘れたの?!」と丹下に言う葉子。葉子が試合を見たくなかった理由は、減量苦の後の打撃戦という、力石が死んだ試合と同じだったからなのでした。「男が男なりに何かをしようって時に、しゃしゃり出て来るな!」と、水をかける丈。分かるよ、(ほんの何%かでも←控えめ(笑))葉子に見せてやると思って勝とうとしているのに、その当の葉子に棄権しろなんて言われたら、イラつく気持ちは。でもあんた・・・女の顔に水をかけるなんて・・・・紀子なら「ひどいっっ」とか行って、泣いて逃げるよ・・・・(怒) まあ、水もしたたる葉子が色っぽかったので、許してやるけどさ・・・。葉子の、白い浴衣が似合いそうな、ちょっとした大人の色気(上流階級風味)が、荒削りな丈とアンバランスでいい感じなんですよね〜。女王様と雇われ平民傭兵って感じで。(うっとり)
 そして少年マンガの王道展開、葉子の存在によってライバル力石の事を思い出した丈は、妙な精神論で逆転勝ち。フラフラで「葉子はどこだっ・・」とつぶやいたりして、周りにはバレてると思うよ、君の気持ち・・・・。チャンピオンベルトを心の中で力石に見せる丈。葉子にも見せたかったのかもね。

 試合の後、台詞でしか語られませんが、丈は葉子のところに会いに行って(!)、力石の墓参りに付き合ったらしい。何で、そんなおいしいシーンを絵で描かないのよ!!! 丈は衆目の前で水をかけてしまったのも気にしていたようです。しかし、この二人、まともに墓参りに行ってこれたのか?(笑) ・・・・力石のお墓にまめに通っている葉子を見て、丈は何を思ったのでしょうか。

 次は世界チャンピオンだと、いきり立つ丈。多分、なんとなく、自分の身体がもうそんなに多くの試合に耐えられないと気づき始めているのでしょう。疑い始めた丹下の目を、誤魔化し続けています。防衛第一戦でハワイに行きますが、葉子が今度はチャンピオンの試合興行権を買ってしまいます。つまり、葉子の許可無しでチャンピオンと試合できないということです。「何のつもりだ!」と怒ってますね〜。「これはビジネスです」とクールに笑う葉子が素敵〜。会話はこんなにムードがなくても、二人で夜の砂浜を歩くシーンはロマンチック。そして・・・・夜の海で葉子が丈のパンチドランカー症状に気づき始めます・・・。

 この頃の丈には、元の野性味や荒々しさが薄れてきていて、これではチャンピオンに勝てないと思った葉子は、興行権と引き替えに、荒々しい野性溢れる挑戦者との試合を丈に強要します。丈は回り道をさせられて怒るし、他のボクシング関係者には素人お嬢様の気まぐれとバカにされながら、たった一人密かに尽力する葉子。何の見返りがある訳でもないのに・・・(T・T) いや、自分でも気づいているのかいないのか・・・。

 その試合も終わり、いよいよ次はチャンピオン戦。しかし、もうこれ以上試合をすると廃人になってしまう、丈の症状はそこまで進んでいたのです。興行権を約束通り手渡した葉子には、もう止めようがありません。丈を説得しようと何度会おうとしても、避けられてしまう。避けるのは・・・丈は葉子の用事を分かっているからでしょうが、別にそんなの、葉子に何を言われてもいつものように、拒否すれば済む筈。それをあそこまで徹底して顔も合わせないのは、葉子の顔を見たくなかったからじゃないでしょうか! この少し前に、紀子の結婚式があって、もう、未練があるとしたら後は葉子だけ。心乱されるのが嫌だったとか。丈の後輩が、「あんな美人が会いに来たら、俺だったら抱きしめてキスするのに〜」と不思議がっていますが、案外、丈もそんな気持ちだったから、逆に避けていたんだったりして(願望)

 以前、パンチドランカーによって廃人になった男と会った時、丈は「見るな!」と葉子が部屋に入ってくるのを周りが不思議に思うくらい異常に乱暴に阻止しようとしました。葉子が、パンチドランカー専門のいい医者がいるから、ひきとると言うと、凄い顔をして、湯飲みを叩き割ったり。自分も高い確率でそうなるかもしれないと想像することは・・・・そりゃ恐ろしく耐えられないことだっでしょう。廃人になる上に、葉子に世話になるなんて・・・。

 結局、葉子が丈に会えたのは、試合前の控え室・・・。飯何杯でもいける名シーンだっていうのに、こう言う時に限って葉子の洋服が変(笑) このマンガ、これまでは結構女性のファッションは、いまでもレトロファッションとしてOKなくらい良かったのに、なんでここにきて、妙な柄の服を着せるかなぁ・・・。
 病状を告げ、試合を中止してという葉子に、丈は、「勝ちめがなくっても、もうそういうことじゃないのさ」と言います。もう、この時、丈の目は穏やかで、遠いところを見ています。もうこの世にお別れを告げたかのように。「待って」と思わず涙をこぼす葉子。少し驚いた丈だが、「心配してくれてるらしい・・・まあありがとよ」と憎まれ口で去ろうとする。
 ドアを背に塞いで行かせまいとする葉子。「好きなのよ矢吹くん、あなたが!」 おおお!言った!! ここまではいい、ここまでは・・・。次に「お願い、わたしのために行かないで」 これは・・・私のためにって・・・そんなこと言えるのは余程愛されてる妻とかじゃないのか・・・。流石葉子・・・普通の女は言えない・・・(汗)。「衝撃の告白だな・・・」呆然と、椅子に座り込む丈。コマ使いもたっぷり。薄暗かった控え室に、天から光りが降りてきたような絵の表現が逆に悲しいです。ここで、「嘘だろ」とか、否定する言葉が出なかったことをチェックしたい! 葉子の愛を信じたのね?! 受け止めてるよあの丈が!!! 「女がそんなこと、軽々しく口にするもんじゃない」「軽々しかろうが構わない。愛する人を廃人にすることはできない」 葉子・・・格好いいっっっ。丈、たっぷり2コマも「・・・・・」と考え込みます。何を考えているんだ〜〜っっっ。今までの葉子と自分を思い出しているのでしょうか? それとも葉子に何と言葉をかけたらいいのか、迷っているのでしょうか。ていうか、あんた、紀子にはあれだけベラベラ喋ったくせに、今こそ何か喋れよっっっ。
 丹下が時間だと呼びに来て、葉子の背中のドアを叩きます。丈はゆっくりと立ち上がり、「リングでチャンピオンが待っている。行かなくっちゃ・・」なんて恐ろしく優しい顔と口調で言って、葉子の肩に両手を置いて・・・・・たーっっぷり、2コマも見つめ合い・・・・「ありがとう」と、そっと葉子を横(蝶番側)にどかせます。あ゛ーっっっっっ、なんでそこで、キスするとか、抱きしめるとかしないのっ。そりゃ、丈はこの後一人勝手に燃え尽きて満足でしょうけど、私の噴火寸前の不完全燃焼はどうしてくれんのよーっっっっ。
 分かってるわよ・・・。あの丈が葉子に「ありがとう」と言っただけでも、もうそりゃ、凄いことだし、萌えまくりなんですけどね・・・。でも・・・でも・・・。もう、どうして、どうでもいいエロマンガは巷に溢れているっていうのに、もう見たくて見たくてたまらないカップルに限って、手も握らないのよ・・・・(号泣) これだから男のロマンなんて嫌いよ〜〜。丈のカッコつけ野郎っ。22才の腐るほど体力のある男子がそんな、すましたこと考えてなんかないってこと、分かってるんだからなっっっ。ばかっ。
 「どうした、誰かいるのか?」と部屋に入ろうとする丹下を押しとどめ、「いや・・・」とそのままリングへ去っていく丈。葉子をそっと一人にしてあげる、優しい心があるのになぁ・・・なんでこうなるんだろう・・・。崩れ落ちる葉子。美人さんです・・・・。

 試合は壮絶を極め、途中で葉子は見ていられなくなって会場を飛び出します。運転手付きの車を待たせているあたり、さすが財閥令嬢。試合の中継ラジオをつけてと言ったり、消してと言ったり、苦しい心が伝わってきます。元々格闘技好きでもなんでもない葉子は、今までに三回、試合の壮絶さに逃げ出したことがありますが、そのどれも、「あんたが主謀者だろ。最後まで見ろ」という丈の言葉を思い出し、リングサイドに戻ってきました。葉子は、ボクシングをする丈の元に、戻り続けたのです。

 リングサイドに戻り、丈に「頑張るのよ、あと少しじゃないの。悔いのないように力いっぱい打つのよ。」と励ます葉子。気丈な姿はせつないですが、最後まで命令形な辺り、葉子らしくて好き・・・・・。でもまあ、丈の心に届いたと思いますねぇ・・・。紀子には正直な気持ちを伝えて振られましたが、葉子は振ったのに戻ってきて理解してくれたのですから。二人が一つになったっていうか・・・。まさに丈の腕と葉子のビジネス力(笑)(と丹下の三人)で辿り着いたチャンピオン戦!!
 丈はかつて力石を始めとして、試合前までは反目し合っていた相手と、力の限りぶつかり合った結果、その中で奇妙な友情を感じ、それは万の言葉に勝る親友だと言っていました。これは、案外、葉子にも当てはまるのかもしれませんね。丈が孤児で不良として遠巻きに接っされたのと同様、令嬢として誰もが遠慮がちで。リングの外で二人の心は激しくぶつかり合ってきましたから。葉子が丈を上から見て「くん」付けで呼ぶのも好きなんですが、丈が「葉子」と呼び捨てにするのも萌えます〜。丈だけですもんね。他の人は皆「葉子おじょうさん」か「会長」ですから。

 そして結果は判定にもつれ込みます。でも、もう丈は、燃え尽きた充実感で、勝敗はどうでもいいかのよう・・・・。丹下を呼んでわざわざグローブを外してもらい、葉子の名を呼び(多分、視力も残ってないかも)、グローブを渡します。「あんたに、もらってほしいんだ・・・・」 これはっ、これは丈の最大級の気持ちの表現でしょう!!! そして、同時にさよならの意味を込めて・・・。丈と葉子の、長い長いリングの外での戦い、その終わりを告げる丈の全てを捧げるプレゼント・・・(号泣) 「やる」じゃなくて「もらって欲しい」ですよ、あーもう、ダメっっっ、やだこんなのーっっっっ。
 判定が戻ってきた時、丈は満足げに微笑んだままうつむいて、もう二度と顔を上げることはありませんでした。

 この私の萌え狂った心をどうしてくれる(怒) 控え室からそのままリングで終わられては、全く空白時間がなくて、妄想を潜り込ませる余地もありゃしない!。せめてギリギリ30分でもあればなぁ・・・・あ、ボクシングの試合前はダメか・・・(笑)。ダメだ・・・原作の時間軸内では、どうにもならない・・・。まあ、丈の生死ははっきり告げられていないんだし、適当に助かったってことにして、一人で脳内で楽しめばいいのですが・・・・。どうも、この二人はやりにくいです・・・・。
 丈が奇跡的に回復したとしても、あの後、どうにも生きていきようがない。一匹狼の丈が、ジムに属してトレーナーというのもねぇ・・・。後10年後くらいならいいかもしれないけれど。それに、葉子とラブラブな毎日、というのも考えにくい。日常の家庭の匂いがしないことに関しては、葉子も丈といい勝負ですからね。それに・・・・。ギラギラしていない丈を、葉子は愛するのかどうかという、疑問が・・・・(苦笑) 葉子はあの、丈の持つ嵐に魅了されたのだと思うのです。
 そういう訳で散々考えて(ヒマだな、私も・・・・)、ま、これならと折り合いがついたのが、丈、遠洋漁業に従事する。これでどうだ!! 一本釣りなんか似合うんじゃない? 猟師になってクマと闘ってもいいけど、それだと葉子に会いたい時に会えちゃうからね〜。一年くらい会えない方がいいんじゃないですか。そして、どこか南の島で、バリバリの女社長は彼の帰国に合わせてバカンスを過ごすの。わずかな期間の、非日常的な逢瀬。燃えあがって燃え尽きる。その繰り返し。これなら、あの二人でも続きそう。
 それかまあ・・・百歩譲って、丈、丹下ジムで子どもボクシング教室を開く、でしょうか。子どもの面倒見は良かったから。そして、時折訪ねてくる、さりげなく高級な服を着た全く場にそぐわない美女・・・・(萌)
 それにしたって・・・・、あの丈と葉子がどうしたらラブラブになるのか、かなりの難問です。丈がストイックすぎて、私では歯が立ちません。妙に奥手というか、紳士というか、鈍感というか、「嫁入り前の娘が・・・」とか言うタイプですよ、奴は。かといって、こんなことまで葉子の企みにはまって・・・という展開は、男として嫌だろう・・・。ねぇ、丈。始め私は、あれだけグレていた君のことだから、連載開始時に既に女遊びくらいしてただろうと思っていたんですが、ちゃんと読み返すとアナタ、ハワイに着いてレイかけられてウェルカムキスされた時、「やわらかいものくっつけるな!」って逃げるという驚愕の反応してますしね・・。アナタまさか・・・(笑) うわ〜も〜、ハードルが高くて、妄想しにくいな〜。

 はー。長かった。読んだ方いらしたら、ご苦労様でした。あーあ、ネットに丈×葉がもう少しくらいあったらなぁ・・・。こんな悩むことないのにな〜。とにかく、二人のツーショットならもう、何でもいい気分よ・・・。でも、こんな昔のマンガに出てくるヒロインは、飛馬姉みたいな、良妻賢母タイプばかりだと思っていたので、びっくりしました。意外な所で意外な収穫。主謀者ってところがいいですよね〜。リングの横で見守るだけの女だったら、萌えませんでしたよ。


 030617

 ここんとこずーっと、丈×葉のシチュエーションを考えまくっているにも関わらず、全く上手くいかない。全く、あの男はどうしたらその気になるのかね?(怒) ここまできたら、葉子の挑発とか、無理矢理見合い話とか、他の男に襲われかけるとか、そーゆー衝動的なシチュエーションじゃなくて! じっくり覚悟の上での愛情表現をさせたい・・・・(しょーもない意地) ライ×ヒルな展開なら超簡単ですが、あれは究極の最終手段だし(笑) そう考えると、あれは単に田中芳樹、あれ以外にラインハルトをその気にさせる方法が思いつかなかったんじゃないか?(笑) 丈は基本的に、自分のことで手一杯の人だからなぁ。相手に対して働きかけるということが思い浮かばない。一人で生きるタイプが愛に目覚めるという展開としては、御手洗・石岡もあるけれど・・・・いや・・・葉子を石岡くんみたいにボロボロな境遇に置くのは、つまらん・・・。あ、あれはどうですか、レディジョーカーの合田さんは。彼も生死の境さまよいましたし、あのパターンは使えるかも。そしたら! あの、全国腐女子が脳から血を吹いた秒殺台詞を丈が言うことに?! はっはっはっ、丈の口からクリスマスなんて単語が出てきたらと思うだけで死ぬ〜〜(笑) あ〜なんか久しぶりに李歐が読みたくなりました・・・。ロマンチックにひたりたい〜。
  


 030623

あしたのジョー2 劇場版〈ニュープリント版〉  レンタル屋であしたのジョー2劇場版を発見。・・・なんか・・・マンガより三割増で男前な作画。目はデカイし睫はばさばさ、うん、これなら萌えられるわ・・・。
 内容は案の定、名場面集といったところ。サングラスをかけてオープンカーに乗る葉子姉様がステキ 丈との年の差、4,5歳はあるように見えます。マンガよりアダルトです! そして、色々とツッコミ所は満載。チャンピオンのジムに行ったら、彼は家族で乗馬に行っていると言われた丈・・・・・すると次のシーンでは、乗馬を楽しむチャンピオンの元に・・・馬に乗って現れる(笑) そして挑発して二人で競馬状態?! そんなすぐ馬に乗れるか!! 
 しかし実際に声が聞ける威力はすごい。「葉子」と呼ぶだけでメロメロ。カーロスと公園で遊ぶ姿は可愛いし・・・・可愛すぎて・・・・カーロス×丈?(汗) そうか・・・あまりに攻撃的なので今まで思いもしなかったけれど・・・受けなのか、奴は・・・?(苦悩) ああ、確かにそれならいくらでも妄想するの簡単〜。やっぱそうなの〜?(笑) もう諦めて葉×丈にするか・・・。

 原作と一番違うのは、ラスト。劇場版の方が、より死を暗示してます。私は今まで「やっぱり丈は死んだのかな・・・・」と思っていましたが、こうも決めつけられると・・・・やっぱ違う!と思いました。あのラストは読者それぞれが好きに決めていい作りになっているんですから、私は断然「なんとか生きている」派になります! そりゃ燃え尽きて死んだ方が格好いいですよ。でも私はそれはセンチメンタルだと思います。燃え尽きようが他に何もできなくても、人生は死んでいいってもんじゃないでしょう。丈は死ぬかもしれなくても自分自身満足したかっただけで、別に自殺したかった訳じゃないのだから。そんな自殺願望な少年マンガ嫌だ! リングの上に存在理由を求めて、それがラストで手に入ったのだから、そしたら次に行くだけです。夢が叶った人間は皆満足してそこで止まってるなんて聞いたことがありません。あの性格からいって、「お前にはボクシングしかないだろう、他のことはするな!」と強制されたら、逆に反発するかもね。燃え尽きた丈は、自由にボクシングに縛られることなく、またどこか飛んでいってしまう方がいいです。「あしたの」ジョーなのですから。明日を見つめて欲しいですね。
 ま、私としては、その明日に葉子が存在していて欲しいところですが(笑) その方が難しいよ・・・。

 勢いづいて、過去のテレビシリーズが見たくなった私。だって、ネットにアップされているシナリオを読んだら、絶対アニメの方が台詞が整理されてて、萌えポイントが多いです。マンガの粗野さも捨てがたいけれども。しかし・・・・1セット2万円には降参。全部集めたら10万仕事じゃないか! ばかたれ、保険が二年間分払えるではないか。もう、これはいい、諦めた。しかし、サブタイトルが「Tomorrow's Joe」ってのは、本気か?(@_@) 所有を表す「の」だったのか?! Joe of tomorrow じゃないの?!まあ、これだってしょぼい英語だけれども。
 


040418

 今日はね〜、びっくりしましたね〜。いきなり、幻のあしたのジョー最終回、ちばてつや書き下ろしですよ!! そんなこと、一言もTV欄に書いてなかったじゃないか!! なんか、今年分の幸運を使い果たしたような気がしますが。別にスペシャルでもない普通の番組で、やるか〜? 白木家のテラス(笑)で、ジョーが体育座りしていて、それを陽子が見守っている図でした。2人とも、力石への贖罪から解き放たれた、穏やかな顔をしていました。うわ〜〜。すごい夢の風景ですよ〜〜。叶えられなかった、切ない夢。あの丈が、大人しく白木家に世話になってることが萌え。丈から反抗心をとったらスッカラカンなのに(笑) 


040517

あしたのジョー DVD(1) ~TOMORROW’S JOE~  あしたのジョー、アニメ。
 いいです、これは〜。わざわざ見る価値ありました。なんてったって、1話から顔が可愛い(笑) 睫毛はバサバサ、伏し目がち。捨てられた子犬って感じでvvv 原作は、序盤はもっさい感じですからねぇ。そうそう、力石が死ぬまでは、丈って全然ストイックでもなく、お調子者で冗談も言うし、表面上は明るい子だったのよね・・・・懐かしいvvvv これ、TVでもう一度放送しませんか? 駄目かな。今では放送コードにガンガンひっかかりそうな言葉が、一杯出てくるもんなぁ・・・・・。DBZと違って、さくさく進むし、今見ても全然面白いです。次回予告が丹下さんの担当なんですが、「なんとかかんとか、生涯のライバル力石と出会った『ジョーの明日はどっちだ!!』」って、必ず『ジョーの明日はどっちだ!!!』が最後の決め台詞なんです。毎回毎回すごい力の入りようで、この面白さは、プロジェクトXのナレーションみたいな面白さと言ったら、お分かり頂けるでしょうか。だから、あんまり次回が大したことないと、非常に辛い。丹下ジムに、入門志願者が来る回では、『志願者を前にした、丈の明日はどっちだ!!!!』って・・・・、そんな、どっちだって言うほどのもんでもないだろうよ・・・・・(笑)。
 印象に残ったのは、少年院での力石vs丈の試合の後、相打ちして倒れた2人が、木陰で並べて休ませられるシーンかあるんですよ。もちろん、試合後なのでトランクス一丁ですよ。んで、一人が目を覚まし、上半身を起こします。それが横下から見上げるように画面に映ると、まるで2人だけの甘い一夜のよう!(笑) これはね〜嫌ですね〜(笑)
 後はね、出所して帰ったら、町のみんなが集まってお祝いの宴会を開いてくれた回。生まれて初めて、丈が自分の居場所を得、人に出迎えてもらった時の姿がね〜〜vvvvv いつもはお調子者で冗談ばっかり言って、どこに行っても騒ぎを起こして暴れ回るくせに、こーゆー時は、賑やかな宴会の輪の中で、一人体育座りして、膝なんか抱えちゃって、せつな〜い顔して微笑んでるの。もう、お姉さんの母性本能直撃!
 またこの丹下ジム、丹下会長が食事の用意をするんですが、まな板で切ってるのがずーっと大根なの・・・・(貧) その次のシーンでは、タクアンなの・・・・・・(一緒だよ!!) 食器が給食みたいな奴なの・・・・・・。白木家はちゃんと豪華そうなのに・・・・。
 そして、力石×葉子風味が結構濃い。というか、力石をクローズアップするために、葉子をからめて演出するからなのですが。なんたって、EDは「力石のテーマ」ですよ。主役じゃないのに! どんだけ力入れてるか、分かろうもんです。減量中で餓鬼のような力石に、少しでも人間らしさを、と思ったのか、海に連れ出す葉子さん。花を摘んできて、力石に見せて、「今のあなたにはこの花の美しさも目に入らないのね」なんて言ってますが、いやいやお嬢さん、力石の目には、夕陽を浴びて浜辺を歩くアナタのシルエットしか映ってないようですよ・・・。そして減量苦にくじけかけ、水を求めて彷徨う力石に、白湯の入ったコップを差し出した時、「この一杯の水を飲んだからって、力石徹という男が崩れ去ってしまう訳ではないわ」って・・・・・・・。葉子さん、その台詞は完全に逆効果では・・・・・。他にも色々言ってましたが全部逆効果でした・・・・。力石は多分、葉子さんの前で男を見せたかったんでしょうからね。そして朦朧とする力石の脳裏に映るのは、夕陽を浴びて浜辺を歩く(以下略)
 力石が死んだ時の控え室で、葉子が「減量に協力した自分が力石君を殺したんだ」と泣き崩れて、葉子のお祖父さんが丈に「すまないが席を外してくれ」と頼むと、丈は「最後にもう一度力石の顔を見せて欲しい」と葉子に頼むんですよ。お祖父さんにじゃなくて、葉子に!! 許可する権利は葉子にあるとみなした訳ですか!! あああああ。重い〜〜。泣き崩れる葉子、茫然自失の丈、この2人を遮るように力石が横たわるベッド。これからの2人を暗示しているかのようなシーンです・・・・・・。
 そもそも、力石が命を賭けてしまったから、それに打ち勝つために、丈も命を賭けざるを得なくなってしまったのよね・・・・・。まったく、これさえなければ、丈にとってボクシングは明るい未来を切り開く素晴らしいスポーツだったのに。
 さて、続きを見ましょうか。次は次回予告によると、力石を失って失意の丈が、力石の幻を見て電車を彷徨い歩くようです。タイトルは「憎いあんちきしょう」。


040518

 アニメ・・・・、かなり力×ジョー風味が漂ってます。なんとかリングに戻ってきた丈ですが、トラウマのせいで本人は無自覚のまま、テンプルに強打できません。やっと打てたと思ったら、拒否反応で激しい嘔吐。丹下「ジョー!お前の体の中に、力石君が生きているんだ!!」 まるで、ジョー1人の体じゃないかのよう・・・・(違) だって、リングで吐いてるし。つわり?(違) 「力石君の亡霊と心中する気なのか!!」と言われても、丈はする気マンマンのようですよ・・・・・。なんとなく、佐為を喪った後のヒカルを読んでいる時のような気持ちです。
 一方で、観客席の葉子に気を取られ、思いっきりパンチを浴びること既に3試合。葉子お嬢さんは、力石の遺影を置いたピアノを弾く毎日。益々年上の貫禄も増してくるし、ああ、距離が遠い〜〜(T・T)

 しかし、ここにきて衝撃の事実が!! アニメのあしたのジョーには2があったのだ!! きっと、知ってる人には何を今更なんでしょうけど、だって、1の最終話のタイトルが「燃え尽きた・・・・真っ白な灰に・・・・・」なのに、2があるとは、普通思わないだろ! 妙だとは思ったんですよね、残り15話の時点で、これからドサ回りに墜ちていくなんて。これからカーロスとホセと闘わなきゃいけないのに、あと15話て! なんて言ってたら、おいおい、次の回で電車に乗って、次の回では子ども達が丈に会いに珍道中って、もう後13話じゃん! 葉子とのあーんなことやこーんなことは、入るの〜?!(あり得なかった)
 なんでも、2は力石死後から始まって最後まで40話くらいあるようですよ。それもちょっと長すぎですけど・・・・。マンガの同じ部分を2回もアニメ化するって、そんなことあるんですねぇ。
 しかもですよ、去年の私がはまった頃にはなかったのに、1はgooブロードバンドナビで見られるらしいし、2はDVDが発売されたらしいし、ケーブルで放映されてるらしいし、それを早く言ってくれよー!!! ばかーっっっ。2も見ないといけないの・・・・・?(泣) もう疲れたよ・・・・・。なんだか2は、BJみたいに絵がアダルトで萌えないし・・・・・。でもな〜『ジョーと葉子のプラトニックな恋愛も描かれる』ですって。(勝負はついたな)


040520

 終わった・・・・・・・。2週間のDVD地獄、きつかった・・・・。いい加減、本も読みたいっつーの。
 さすが虫プロ。きれいにまとめました! カーロス戦が完全オリジナルで、終わりでした。試合前、葉子に「カーロスと戦えるなんて、あんたに礼を言うよ」と言うと、葉子は「矢吹くん、頑張ってね」と言います。もうその時の、丈のハトが豆鉄砲を食ったような顔が萌えるったらvvv そして、力の限り打ち合う2人は、ボクシングという枠を越え、そして、最後は相打ち、同時ダウン。観客は感動の渦。試合後、誰もいないリングサイドに佇む葉子。ロケットの力石に、「あなたが命を賭けた矢吹丈は、本物だったわ」と報告。またこのロケットがでかいのなんのって・・・・・ラインハルトのペンダントといい勝負。「力石かい?」と丈登場。「地獄で今頃力石も悔しがってるだろうよ。俺もカーロスとやりたいってね」と丈が言うと、葉子が笑って、普通に素直に笑い合う2人。子ども達が丈に駆け寄ろうとしますが、段平さんが「試合が終わったんだ。丈にも安らぎが必要だ」と、そっと二人っきりにしておいてくれます。葉子が安らぎ?!!! ああそれなのに、さっさと帰る丈。送っていくわと、追いかける葉子。
 ところが、皆が待ちかまえていた丹下ジム。入ってきたのは葉子だけ。「矢吹くんは旅に出たわ」。うそーん(/@_@)/(笑) 泣き崩れる子ども達。丹下さんの「奴に明日がある限り、きっといつかまた帰ってくる!」という言葉、そして、軽やかに夕陽に向かって走る丈の姿で幕は下りた。
 まあまあ爽やか〜に終わりましたね。しかし、本当にこの終わり方だったら、絶対に懐かしのアニメ番組では、生き残れなかっただろうなぁ・・・・。まあ、ちょっと、丈と葉子の和やかなシーンがあったりして、なかなかおいしいですけど。しかーし!! 本当はこれからもっともっと、2人の息詰まる萌えシーンがいっぱいあるはずだ!! そしてそれは2で見ろと、いうことなのね・・・・・・(T・T
 とりあえず、アニメを見て分かったこと。『丈、総受』


040531

あしたのジョー2 VOL.1  ジョー2。うーん。前の方が妙で面白かったのに、時代が新しいせいか、さぶい(笑) まだ笑える境地にまで達してません。声も変わったのかなあ。脇役が、下手くそなんですけど? 歌もやっぱりサンド〜バックの〜の方がいいのになぁ。OPの映像は昔のカラオケみたいだし・・・・。
 まあそれはさておき。ボクシングを捨てられず、ジムに戻ってきたところですが、いきなり力石の墓で再会だ!! 「力石君の代わりにお礼を言うわ」という葉子に、「よしなよ。死んでもまだ、自分のもののつもりなのか」と丈。どういう意味だ! 分かりにくいぞ丈! 「あんたに礼を言われる筋合いはない」てなことか。それとも、力×丈?!(笑) いやいや、葉子さんは丈のカラ元気を完全に見破ってます。夜にサングラスかけてスカーフなびかせ、クラシックなオープンカーを運転し、丹下ジムのある貧乏町の河川敷に車をつけ、「偶然通りかかったの」はねーだろう! 無理ありすぎ! またこれ、「前のあなたはリングに登るのに、何かのためだとか理由なんてつけなかったわ」と痛いところをつき、「じゃあ、どこからか力石を連れてこいよ!」 丈、アンタがそれを言うか! それとも、力×丈?(笑) 


 040602

 矢吹さん。まだトラウマに支配され、無理して顔面を打つとリング上で嘔吐を繰り返す状態です。噂のキラキラ光る吐瀉物が見られました。成る程。流石に実際の色はつけられなかったらしい・・・・(苦笑) 力石(の亡霊)との勝負とばかりに、試合をとめる丹下さんを無視し試合をしまくるんですが、なんと、「葉子に招待状を送っておいたか」と気にしてます。ええーっっっ?! あれって、招待してたの?! 私はてっきり関係者席とか、コネで葉子が勝手に見ていたのとばかり・・・・。「オレを見ていろ」ってことですか・・・・(萌)。それなのに、葉子からは招待状が来てません(笑) 白木ジムの選手の試合を電器屋のTVで見る丈・・・・。(←TVのない丹下ジム所属(貧) 
 1では、19才と18才くらいの大した差では無かった2人ですが、2では、28と22位にどんどん差が開いていってます。令嬢と新進ボクサーから、実業家と落ちぶれボクサー。開いてる・・・開いてるよ・・・。もう、本来なら口もきけないくらいに開いてる・・・。


 040605

 2もも10話が進み、カーロス戦が終了。久々に全力を出し切り、随分ご機嫌な丈ですが、後払いのファイトマネーの半分をもらいに来て、葉子が30万と小切手に書いたからさあ大変。「契約の5,6倍はあるじゃねーか!!」 葉子は10万円と書き直すのでした。??? 10万円で納得するんですか?? 計算が合わないのでは?? 30万が5,6倍ってことは、元が6万か、5万のはず。丈・・・・さすが学校に真面目に行ってない・・・・・。
 葉子が「とてもいい試合だったから」と言っても怒りは収まらず、「あれはプロとプロの何の因縁もないきれいな試合だ! 割り込むな! 力石の時とは違うんだ! お前のために戦ったんじゃない!」などと怒っておりますが・・・・・。世界チャンピオンとの試合の日程が決まっていたカーロスが、どうしても丈と戦うと言った時、チャンピオン戦の日程をずらすために違約金を出したのは誰だったか、もう忘れたのか、この鳥頭!! 何か言ってやれよ葉子お嬢様! 


 040610

 ジョー2。カーロスがパンチドランカーで記憶喪失になり、これまた失意の丈。入院先のサンフランシスコにまで行こうとする心根は優しいが、悲しいかな金がない。友だちに借りに行って、パスポートがいるよ、と教えてもらう始末。結局困って行った先が、葉子ん家。ファイトマネーに色を付けられると腹が立つのに、借りるのはいいんですか。分かんない価値観です。そして、着た切り雀のボロボロのシャツを着ている丈にくらべ、葉子さん、そのモコモコの白のコートは毛皮のコートですか・・・・・。ダウンコートってことはないですよね、あの時代では・・・・・・。
 カーロスまで壊しちゃったので、国内の選手は誰も丈と試合を組んでくれません。丹下さんの頼みの綱は、もう葉子だけ。でも丈が怒るので必死で葉子が関わっていることを隠しております。丹下に連絡を取るのに、紀子の家に電話をかける葉子さん。(まだ・・・丹下ジムには電話がないのね・・・。)「私から電話があったと矢吹くんには言わないで下さい」という言葉で、2人の間に緊張が走る! おお、女の戦いですな!


 040613

 減量苦に入ってきました。現在170p60キロだそうです。20才にもなって、まだ成長期とは・・・・(笑) てゆうか、アンタ20才だったのかよ! 嘘だろ?! じゃあ葉子は23,4位なのか?! どう若く見ても20代後半の風格だってのに!
 カーロスを倒した世界チャンピオン・ホセと早く戦いたいがために、突っ走る丈。そのためなら、たとえ葉子のプロモートでも我慢してやると思い切り、珍しく2人が顔を合わせてもケンカしてませんが、穏やかとは言えません、暫定休戦状態位です。テレビ局の立食パーティで、丈の減量を見抜く葉子。途中で抜ける丈を、車で拾う葉子さん。なぜ夜なのにサングラス? 色々と減量のことを尋ねる葉子にイラついて、「それ以上言うとはっ倒すぞ」と凄んでみても、「まあ(微笑)」と軽く余裕でかわす葉子さんがステキ〜v いや〜女に暴力振るうような丈ではないですが、葉子だけは、本当にはっ倒しそうなところが萌えですよ。葉子は、丈にとって、弱くて守らなきゃいけない女じゃないので。反発しつつも、葉子の(強引な)誘いどおり、夜景のキレイなレストランに入る2人。ギャーー!! ロマンチックな舞台です〜〜。でも、丈の頭ん中はさっき会ったホセのことで満杯です。独り言のようにベラベラ喋りまくってます。まあ・・・・丈にとって全てのことを話してくれてると思えば・・・・・・(苦笑) 葉子さんも、「矢吹くんの頭の中はボクシングだけなのね」と言っても、「当たり前だろ、他に何がある」てな返事。・・・・・仕方ねぇなあ、こういう男だよ・・・。
 減量を止めさせたい丹下さんは、丈を屋根裏に閉じこめて、ウナギを焼く煙責めにする。ひ、ひどい・・・・(笑) 紀子はトマトサンドイッチを差し入れ。・・・・トマトサンドイッチが好物の20才男子って・・・・可愛い・・・・(笑) 「ごめんな・・・」と言って、サンドイッチをハシゴから落とす丈。ほんとアンタ、紀子には優しいねぇ。これが葉子だったら、投げつけて返すだろ。


 040615

 金戦終了。金選手のプロフィールが不明だと大騒ぎでしたが、セコンドに向かって思いっきり「大佐」と呼んでるんですけど・・・・。モロ分かりでは・・・。金選手の飢餓経験にビビった矢吹さんですが、自らの意志で飢えと闘った力石を思い出し、いきなり勝つ。無茶苦茶な論理です。「力石!力石!力石!力石!オレの力石の為にも絶対に負けられない!」 四回名前を叫びました。私は数えました(笑) しかも「オレの」呼ばわりです。(そうは言っても、受なんですが。)
 OPが変わりました。初代がお馴染みのサンド〜バックの〜♪で、2代目は爽やかスポーツ漫画調。3代目はタイトルからするとブルースだそうですが・・・・場末のムード歌謡って感じ・・・・。妙に明るいし、なんか合わないんでは・・・。しかし、問題は絵! 2代目は幾何学的で抽象的な(パペット人形みたいな)ボクシングの絵で、それだけ見ても何の作品だか全く分からないと言う、ある意味すごいものでしたが、3代目は、矢吹さんが躁状態で夢の島を歩いています。これが・・・・すごい・・・・木村拓哉も真っ青の女顔。しかもなんだその睫毛は! 下地をつけてロングにボリュームの重ね付けか! バサバサです。そら、陰で姫とか呼ばれるのも仕方なし! ついでにEDも変わりました。一枚絵のアップからロングのカメラワークだけという、これは演出なのか?手抜きなのか? でもねうふふふ。アップだと丈が振り返ってるだけなんですけど、ロングになると、その視線の先には葉子さんがいらっしゃるんですよ・・・・・。うふふふ。あの、浜辺でのデート(言うたもん勝ち)のシーンですね〜。
 金戦の後に、力石のお墓で葉子に会ったという、漫画では台詞でしか無かったシーンが、アニメでは描かれているというので楽しみにしていたのですが、何のことはない、紀子に西に子ども達まで付いてきていた・・・・・。てめーら、まとめてお邪魔虫なんだよ!(笑) うううう、これなら二人っきりの逢瀬を勝手に想像していたままの方が良かったよ・・・。

 アニメのオリキャラとして、フリージャーナリスト(格好いいが胡散臭い)の須賀さんが出てきて、最初は丈のネタを葉子に売りつけようと接触してきたのですが、そんなはした金、葉子はさっさと払ってしまい、今では私設情報屋に成り下がって、いいように使われている。いつも葉子の側にいるので、本来なら怪しい関係に見えなくない筈なのだが・・・・、実情は完全に須賀×丈・・・・(汗) 2人のハイエナが1匹のウサギちゃんについて、裏でこそこそ話し合っている姿は怖い・・・(笑)

 え〜、晴れて東洋なんとかチャンピオンになった矢吹さん。防衛戦でハワイ行き。しかし、ここでのメインは試合ではなく、葉子との浜辺デートでしょう!!! デートと言っても、世界チャンピオンのホセとのビジネスって何かと聞かれ、葉子さんが「散歩しない?」なんて、丈がついてくるようにし向けるあたり、葉子さん、なかなかの策士です。無理矢理とはいえ貴重な最もロマンチックなシーン。砂浜に残された足跡がちぐはぐで、葉子が丈のパンチドランカーに気づく、というシーンが抜かされていたので、物足りなかったかな・・・・。でも、2人でケンカもせずに波打ち際を歩き、丈の無茶苦茶な無免許運転で2人が笑い合ったり、貴重です。余談ですが、昔アメリカに行った時、普通に車がビーチを走っているのには驚きました。日本と違って狭くないし混雑してないからできることですね。

 しかし、このアニメ・・・・ご丁寧に外国人はちゃんと英語喋るんですよ・・・。声優さん、どうしたのかなぁ・・・。脚本も面倒だったのでは。大抵は字幕が出るのですが、ちょっとした台詞はでなくて、分からん・・・・何を言っているんだ・・・・。

 無事ホセとの契約が成立した葉子さん。夜のホテルのオープンテラスで食事している丈と丹下さんのところにやってきます。「お邪魔してよろしいかしら」なんて、かがり火にゆらゆら照らされて雰囲気たっぷりです。「チャンピオンの日本興行権を15万ドルで買いました。対戦相手の第1候補は矢吹丈。異存あります?」 余裕の微笑みです。気になったので調べました、この当時1980年代のドルレートは1ドル250円前後でしたので、3750万〜?!!! 嘘だろ〜!! さらっと言うな、さらっと!! しかも、テレビ局も狙っていた契約を奪いとるために、ホセに必死で接触を図り、奥さんと親しくなったり、かなりの労力も割いていることは微塵も感じさせません。男前だぜ、葉子さん!!


 040618

 さて。ハワイでの防衛戦が終わったら、次は葉子が仕組んだハリマオとの試合の筈・・・・なのに、誰だこりゃ? レオン? こんな相手、いたっけ・・・・。(何しろ、丈×葉シーンならともかく、試合の記憶には自信がない・・・) うーん、こんなガウンにキングのトランプをプリントするようなおバカちゃん、一度見たら多少の記憶はある筈だが・・・・。(トランプのキングではないところがミソ。ちゃんと四角く、トランプ自身を背中にプリントしている・・・・) センスは悪いが世界一位だそうです。勝った方が、世界チャンピオンとの対戦資格を得る。因みに丈は五位。ボクシングってのは、日本1位から世界まで早いなぁ。(どうも世界一位と聞くと、DTのコントを思い出して笑えてならない)
 試合は判定勝ち。いつもの通りの丈の粘り勝ち。この漫画って、それほど技術的なものが描かれなくて、必殺技もないんですよ。珍しくありません? 今時中学生テニスの分際でも技に名前つけるのにね(笑) とにかく打たれても打たれても丈が立ち上がるので、向こうが疲れて負けるんです。試合後、偶然一緒に食事をすることになる・・・?! こんなシーンは無かったぞ!(=こんな攻は絶対いなかったぞ!) これはアニメオリジナルだ!(気づくの遅い!(笑) そして、外の空気を吸ってくるといって、外に出たレオンはそのまま交通事故で死亡・・・・。なんじゃこりゃあ!!(怒) 意味ねぇ! たまには丈の対戦相手が普通に帰っちゃいけないのか?! 何が何でも死ななきゃいけないのか?! 話に必要ないから、力石やカーロスみたいに丈の精神形成上に影響があるわけでなし。そりゃ、人は意味もなく死ぬものですが、こうも簡単に描かれると、重みが無くなるよな・・・。
 アニメオリジナルですが、非常にアニメ版矢吹丈の設定を端的に表す台詞がありました。「オレはキングになりたいんじゃない。キングと戦いたいんだ」 こーゆーのはさ、本人が自覚するもんなの? 周りが分析するならいざ知らず。 随分まあ、自分の気持ちを整理して言葉で表現できるようになったこと。お姉さんびっくりです。丈といえば、燃えたぎる衝動の表現方法を持たず、やたらと躁鬱の幅が激しくて、怒ればケンカし、優しさからくる感情でも怒鳴るしかなかったり、そんなボクシングしか表現が出来ない荒削りな子だったのですが・・・・。読者が丈をこういう性格付けしたから、丈はチャンピオンに勝つことも出来ず、負ける訳にもいかず、あんなラストにならざるを得なかったんじゃないか・・・・・・。

 一方ホセの方は、世界統一チャンピオン戦とやらに出場。これもアニメオリジナル。よく分からないですが、ボクシングには2つ団体があるので、そのチャンピオン同士が戦うそうです。日本棋院と関西棋院みたいなもんか? 原作のホセは、丈のことは普通に今までいた挑戦者と同程度の認識ですが、アニメは違います。わざわざラスベガスでの試合のチケットを送りつけています! おいおい! ジョー総受ワールドの中に、最強の攻参戦か?! 既に丈はゾッコン(死語)だ! しかーし、ホセとの試合の権利は葉子が握っている!(笑) ホセの底力を見た葉子は、最近の優しくなった丈では勝てないと判断し、ハリマオとの試合を強要します。丈が怒ってるわ〜、人の人生を弄びやがって!と怒ってるわ〜、これでこそ萌えるわ〜。ここんとこ、穏やかだったからつまんなかったのよ(笑)


 040629

 丈、復帰。パンチドランカー症状出てます〜出てます〜。ちくしょー、ハリマオめ〜。ザコキャラのくせに、丈を殴るんじゃねー!! 丈の神経細胞が壊れてゆく〜〜(怒) 廃人状態になって、リングサイドに現れたカーロス。廃人状態のくせに、外国から飛行機に乗って日本にやってきたんだ・・・というツッコミはしてはならない。哀れな姿に涙をこぼす丈。この人、結構素直に悲しいと泣くわねぇ。またこれ、女顔だから似合うときた(笑) カーロスの胸に顔を埋めてます・・・・・・男を抱く腕があるなら、なぜ最後に葉子を抱きしめなかったんだ丈!! 外側からガッと抱きしめるのではなく、脇から腕を入れて抱きつくあたりが、受だってんだよ(笑) うわ言でボクシングをやろうと(ちゃんと日本語で)言うカーロスを見て、カーロスの分まで自分が燃え尽きてみせると決意を固める。やめてくれ。


 040630

 パンチドランカーのことを知らせようと葉子から電話攻めにあう丈ですが、居留守は筒抜けで聞こえてるし、挙げ句にはひと言「切れ」ですよ。あんたねぇ、紀子が減量中にサンドイッチ作ってくれた時の態度と、えらい違いじゃないか〜?(怒)
 遂に8/17、世界タイトル戦。たったの3話分ですよ、最後の試合が! 昔のアニメは妙な引き延ばしがなくていいねぇ。
 例の告白シーンですが、微妙に漫画と違うんです。メモしておこう・・。葉子「リングに上がるのはおやめなさい。あなたの体はパンチドランカーに侵されています」丈「だからどうした」葉子「知っていたの?」丈「自分の体だからな」葉子「今すぐ引退を表明して」丈「今月は墓参りに行ったのか、力石の」葉子「あなたもカーロスのようになりたいの」丈「カーロスのことはよしなよ」葉子「試合を中止したら違約金を払わなくてはならないでしょう。でも私が全て責任を持ちます」丈「もうポンコツだからとか、勝ち目があるとかないとか、そういうことじゃない。あんたもよく知ってるはずだ。出てってくれ」葉子「お願いだからリングにあがるのだけはやめて。」丈(出て行こうとする) 葉子(ドアを塞ぐ)「好きなのよ、あなたが。お願い、私のためにリングに上がらないで」(見つめ合って)丈「リングには、世界一の男が俺を待っている。だから行かなきゃな。ありがとう」
 原作では、「好きなのよ」から「リングには〜行かなきゃ」の間に、丈がベラベラと、「衝撃の告白だな、週刊誌に売ったらとびついてくるぜ」だの、「女が軽々しくそんな台詞をはくもんじゃねぇ」だの、アニメで省かれるのも無理はない程、つまんないこと言ってます。頭が混乱してるんでしょう。「・・・・・」と考え込んだりして、ああ・・・、この間だけは頭の中は葉子のことを考えているのね・・・・と、萌え萌えです。
 アニメの丈は、漫画よりスマートなので、そんな台詞はありません。丹下さん、呼びに来るの早すぎよ・・・恨むわ・・・。しかし、何故か「今月は墓参りに行ったのか、力石の」が挿入されています。これ・・・・、何度見ても、突然すぎませんか。「引退して」の次に、なんで「力石の墓参り」が出てくる訳? 丈の思考回路はどうなってんだ?? 分からん。どう考えても。「今でも力石のことが好きなのか」という意味なのか・・・、いやいきなりそんなこと聞くのも変だし、それとも、「自分がこの試合で死んだら、同じように墓参りをしてくれるのか」とか? そんな死後の墓参りなんか気にする男じゃないと思うしなぁ。自分が死んだら、力石が死んだ時のように葉子を長く悲しませると想像していた・・・・筈ないか、好きって言われてびっくりしてたもんな、・・・・・じゃあ・・・・・、「墓参りに行ったのか」というのは、疑問じゃないのかも。「今月は行ったのか」→「今まで毎月行ってるんだろ」→「大事に思っているのは力石なんだろ」→「俺のことに口出しするな。関係ないだろ」 これか?! これなら筋が通る! ・・・しかし、遠回し過ぎるよ、矢吹さん・・・。これが正解なら、矢吹さんはしっかり、葉子と力石のことを気にしていたってことになるけど、いいのか、そんな私に都合の良い解釈で(笑) 
 アニメでは、紀ちゃんに「試合が終わったらどうするの。旅に出て、帰ってこない気がする」と言われ、「旅か〜それもいいなぁ。でも心配するなよ、また皆のいるここに帰ってくるって」と言っております。後、葉子も一旦逃げ出した武道館から、また戻る時に、「これから全てが始まるのよね」なんて台詞があります。なんだこりゃ。そのくせラストの描写は、死んだ感じ出しまくってるし、かと思えば、ラストの有名なうつむいた笑顔のBGMは、OPのご機嫌なナンバーだし、どないやねん。何故最後に、落ち着いた曲調のEDじゃなくて、OPを・・・(謎)。しょうがないので、とりあえず私の頭の中では、実は葉子が金に物を言わせてリングサイドに医者を完備していて、なんとか命は取り留めたが、ふらりと旅に出てしまい、その内帰ってきた、というラインでいきます。んで、女実業家と下町の貧乏人シチュエーションでいきます。誰に何と言われようとも(笑)
 必死でジョーサイトを探していたら、葉×廃人丈という萌え案を発見。人間の脳が作り出す萌えの限りない広がりに目頭を熱くする。師匠と呼んでいいですか。


041028

マンガの深読み、大人読み  ありがとう夏目房之介様。マンガ夜話を見ては、「ったく、細かい所にうるさいオヤジだな」と思ってたことを謝罪します。もう二度とそんなこと思いません。「マンガの深読み大人読み」 DBの考察目当てに手に取ってみれば、なんと、メインが巨人の星とジョーでした。なんだよ、「梶原一騎の深読み」ってタイトルにしたらどうよってくらい。
 で、平たく言うと、氏は丈×葉をオフィシャル扱いしてくれたのだ\(^O^)/ ああ、アニメ夜話で「葉子は邪魔だ」とか「だからあの女は力石と丈の狭間で何も得られなかった女だ」とか散々言われて、「ふふん、そんなところが葉子の存在感ってやつよ」と思いながらも、ホントはちょっと悲しかったのよ(笑) 
 あまり詳しく書いてもいけないので、ジョー論の本旨は伏せて、ほんの一部分である丈×葉部分だけを断片的に書くと、つまり丈にとって葉子は高嶺の花の汚れなき高貴な美しさ(笑)と、傲慢と欺瞞の象徴で、葉子への反発は梶原一騎的な愛情表現だった、という一文から始まります。ああっ、私のような萌え腐女子じゃない目で、そう見てくれるなんて!(ガッツポーズ) そして、新しい萌えポイントが! ああ、なんでこんなところ気づかなかったんだ!! まだまだ私も修行が足りないわっっっ。
 力石が死んだ辛さを紛らわせるためにディスコで踊りまくる葉子さん、それを目撃した同じくボロボロの丈、力石のことで嫌味を言う葉子、というシーンで、丈が「お前こそ、その青ざめた顔はなんだ!」「ゆめはかなくもやぶれたりだ!」「死んじまえ!」と葉子に言うシーンがあるんです。言われた葉子は「ゆめ・・・・・?」と言って、丈は怒った勢いで出て行くのですが、この場合の「ゆめ」は力石の事だと私は思って読んでいたのですが・・・・・、夏目房之介によると、葉子のことだって言うわけですよ。確かに・・・・・その方が3つの言葉の繋がりが良いです。(どうりで妙に繋がりが悪い台詞だと違和感はあったんですよね) それに、葉子が言った言葉が疑問形である意味も通じます。ゆめ=力石であるなら当たり前のことですから、疑問に思わないはず。自分のことだから分からなかったんだ!! ありがとう夏目房之介!!
 夜遊びで青ざめてるぐらいで、夢が破れたと言われるのもピンと来ませんが、先日手に入れた梶原一騎原作「愛と誠」によると、資産家令嬢が喫茶店でウェイトレスをしているのを見られただけで、親は口止めに100万出すんですよ・・・。どんな価値観やねん。まあ、それを考えると、夜な夜なディスコで踊ってるってのは、夢が破れたとも言えるのでしょうが・・・しかし、矢吹さん、あなた葉子にどんな夢を見てたのよ・・・・(笑)


041103

愛と誠 (1)  「愛と誠」読み終わり。ずるい・・・・ずるい!! なんだこのマンガの終わり方は!! 出てこい、梶原一騎!(怒)
 「愛と誠」。愛について語る時、三浦しをんがこの作品を取り上げて、それも半笑い気味だったので、気にはなっていたのです。そして原作が梶原一騎。彼の恋愛観でもわかれば・・・なんて思って読み始めたのですが・・・・まあこれまた、無駄にテンションだけ高いマンガで・・・・。
 ブルジョア令嬢・早乙女愛(また、この設定か・・・好きだな梶原一騎も・・・)は、子どもの頃雪国の別荘に行き、スキーをしていて死にそうになった所、地元の男の子に助けられた。額に傷を負って助けてくれたその子のことを、初恋に王子様のように思っていた。ところが、中学生になって再びキャンプで訪れた時、愛は地元の不良(太賀誠)にからまれるのだが、その石原軍団のような男前の筋肉バカ不良の額に傷があったのだった。責任を感じた愛は父に頼んで、天涯孤独の誠の衣食住を面倒と、自分の通う金持ち学校へと編入させたのでした。意外にも素直にそれに従った誠でしたが、本当の狙いは、全部滅茶苦茶にしてやろうという気持ちからだったのでした。
 実は、愛を助けてケガをして一ヶ月寝込んで小学校を留年し、それで(?)両親が不仲になり離婚して蒸発、周囲と反発してケンカ三昧。そんな恨みを愛にぶつける誠。・・・・・すみません、責任を感じ、うちひしがれてる愛には悪いですが、誠、格好悪いんですけど・・・・・(汗) それ、全部原因は元々あったんじゃ・・・。一体誰に感情移入して読めばいいんでしょう・・・・。そして始めたことと言えば、学園の番長争い・・・・。久しぶりに聞く単語だよ、番長・・・。学園の体育会系部長を次々とぶちのめし、配下を集めて、「タイガーグループ」を結成。太賀だから、タイガーです。・・・・・・(=_=) 徐々に荒れてゆく学園。愛は、あの自分を助けてくれた昔の誠に愛を誓い、今の誠をなんとかしようとして、誠との対立を深める。睨み合って対峙する2人。アオリ文句は、「愛は平和ではない。愛は戦いである。武器の代わりが誠実であるだけで、地上における最も激しい、自らを捨ててかからなければならない戦いである」。これがこのマンガのテーマのようです。そう、これは「愛」という競技のスポ根マンガ、バトルマンガなのです。
 ものすごい勢いのボルテージの割に、やってることは学園内のケンカの繰り返し(笑)。ひたすらやめてくれと頼んで回る愛。そこに、愛を愛する優等生・岩清水登場。またこれ素晴らしいネーミング。いきなりラブレターで、「君のためなら死ねる」ときた。重い・・・重すぎるよ・・・・・。まあ、それなりに愛の支えにはなってくれるとはいえ・・・・。ポエマー岩清水。「愛とは、堪え忍び、捧げ尽くすこと・・・・」と七三メガネの割に語る語る。寝込んだ愛のためにシチューを作る、マメな男。愛が目覚めて温め直した時に丁度良くなるように、シチューの煮込み具合は八分目。・・・・・シチューって、別に煮込めば煮込んだだけ良いんじゃないの?
 あんな不良のことが好きなんて、と噂されて、愛は学園のマドンナから転落。この世界的には大変な屈辱らしい・・・。その上、誠の策略で、喫茶店でアルバイトをすることに!! ・・・・・・ホステスするかのような、周りの嘆きようは、時代背景のせいなのか・・・・? 親は泣きながら口止め料に100万払ってます・・・・。
 え〜、学園を追われた(てゆーか、もう学園に敵キャラがいなくなったので)誠は、不良高校に転入。愛も後を追います。さすがに、誠の腕っ節も限界に近づいてきました。敵キャラが、男塾レベルになってきたからです。あんた身長いくつだよ!! もう全然誠が格好良くないんです、大言壮語でやってることといえば番長争いなんてちゃっちいことだし、復讐心も情けないし、ごつくて男臭くて気持ち悪いんです、風呂にも絶対入ってないです。男はこーゆーの格好いいと思って読めるんですか?! (ああ、それを思えば丈は細いし女顔だし、あんな川原の掘っ立て小屋に住んでても練習の後にはシャワー浴びてたし、可愛いよな〜。) 
 しかし、その学園には影の大番長がいるらしく、よく吠える犬のような誠は必死で探します。(たいしたもんで、流石のATOKも一発で変換してくれないわ、この辺りの単語(笑) そんな時、愛は校庭で、ツルゲーネフの初恋を木にもたれて読む美人上級生と出会う。・・・・あからさまに怪しいだろ! 他はブサイクな不良ばっかりの学校だってのに!気付けよ! そう、彼女こそ影の大番長、ナイフ投げが得意技で、ツルゲーネフの初恋の本の中身をくり抜いて、ナイフを隠し持っているのだ。えええ!? それ持ち運びしやすいか?! すぐ蓋が開いて落ちそうだ。しかし、穂村弘はその、ツルゲーネフの初恋の本に秘められたナイフというシチュエーションがたまらなかったらしい・・・・。大島弓子が好きな人なのに、こーゆーのも読んでるんだ・・・・。しかし、こんな・・・・(=_=)・・・・なマンガなのに、あちこちで引用が見つかるのは、この無駄なテンションとインパクトのせいでしょうか・・・・。
 そして、彼女と対決する誠。太賀様は女だろうと容赦しません。また止めようとした愛は、誠に抱きついて我が身を盾にするのでしたが、それがまた見開き一杯ですよ。ナレーションが、「初めてお互いの若い体を腕の中にした」って・・・・・、エロい・・・、サラリーマン向け小説のようです。
 結局誠は大けがをし、愛が勝手に輸血をします。「こんな借りなんか作りたくない」と言って、今度、愛が人質になった時、誠が来て代わりに縛られて殴られる・・・。ったく、大男が縛られても、萌えやしない。止めてくれるよう泣いて頼み、子分に叩かれる愛を見て、「借りを返すのに恩を着せるつもりなんかない。そいつを見えない所に連れて行け」と言う誠。この台詞が2人の心を打ち抜きます。「ああ、これほど誇り高い男の言葉を二度と再び自分は終生聞くことはあるまい。」と、またすごいナレーションが入ります。「二度と再び」って・・・、同じ意味を二重に重ねてます。。 愛は勿論のこと、大番長まで恋に目覚めてしまい、しかし「愛にはかなわない、薄汚れた自分を知るだけだ、それは自分のプライドが許さない」、といって、いきなり投身自殺してしまう大番長。極端すぎます!!
 そうなると、大番長を好きだった化け物のような不良が、誠への復讐に燃える。誠ピーンチ!と思いきや、突然あっさりと、大番長復活。ええーっっっっ!? 死にきれず、綺麗な顔に傷を負って戻ってきた。・・・・早すぎです・・・・。その上びっくり、誠は大番長の気持ちに応えてアベックドライブ(って言うんだって)を決行。うちひしがれる愛。ところが、ドライブ中でも、苦しむ愛のことを思い浮かべて大笑いの誠に対して、「やっぱり気になるのね・・・」と嫉妬する大番長。愛も自分と同じように顔に傷を付けてやると企む。
 しかし誠はと言うと、岩清水にご親切に愛の身の危険を教えてあげたり、愛が襲われたというと血相変えて飛んできたり、ここにきていきなり、なんだ・・・・アンタ結局好きなんじゃ〜ん、という態度が続出。2人の対決がこの作品の異常なテンションを維持していたので、こうなるとテンションの低下は否めない。
 え〜6,7巻は手に入らなかったので飛ばすと、(あまり内容上問題がないようだ)、誠を捨てた母親が、飲み屋の落ちぶれた女将として登場。自暴自棄になって、不良間の抗争激化。自分がお母さんをなんとかしてやろうという、気概は無いようです。捨てられて、今また気づいて貰えない傷ついた子供心全開。
 自分で野球ボール大の爆弾を作り、自分に何かしたら巻き添えで自爆してやると学校中を脅し、皆、誠の言うなりになって、ピリピリムードで授業は真面目に受け、ケンカもせず、・・・・・・・結果的に学校のためになるようなことをしているような気がするが・・・? 何がしたいんだ一体。
 結局、自殺しようとした母に遭遇。一緒に死のうとし、電車に轢かれる瞬間に、名前を呼んで貰えた誠は、満足したのか、妙におだやかになってゆく。・・・・・母は、最後警察に連れられて行ったのだが・・・・、そこは別に気にしないのね・・・・。
 さて、そんな中、愛の父親が汚職の片棒を担いでいたことが露呈し、愛が窮地に追い込まれる。そんな愛の窮地に、ようやく素直になる誠。「母親のことが引け目となって、三文ピエロのように悪役に徹するしかなかった」と、これは完全な告白か?! そんなことって・・・・・(呆然) あれだけ権威や金をバカにしていたというのに、そのアンタが一番それを引け目に感じていたのか。愛が没落してきたから言えるって、そんな告白どーよ?! 男としてちっちゃくないか・・・? 誠・・・ここまで読んできたがやはり萌える所のない男だ・・・。
 そして、早乙女財閥を利用してきた代議士やなんかを、ゴルフ場で襲い、暴力で愛の敵を討とうとする誠。それが奴なりの愛への気持ちの表し方なんだって・・・・。へー。 ところが返り討ちに遭い、「ここまでか・・・」と潔く(?)覚悟を決めた瞬間!! 悪の親玉・首相が逮捕!! 代議士は勝手に破滅。そこへ、以前、抗争を繰り返していた不良が現れて対決。ところがあっさり刺される誠。・・・・またか、梶原一騎・・・・。なんでも、心が満たされた誠からは、ケンカ・ガッツ(原作用語)が失われてしまっており、前のようにケンカできなくなってしまっていたのだ!!
 腹を刺された割には歩きに歩いて、何故か海岸で待つ愛のもとへたどりつく。駆け寄る2人、見つめ合って、・・・・・・抱き合ってる・・・・うわ、キスまでしてるーっっっっ!?? おいおいおいおい、ここまで硬派気取ってて、最後にキスって、少女漫画かよ! 「ずっとこうしたかった」とか言ってるし! なに満足そうに瞳を閉じてうつむいてるんだ、誠。そしてそのまま膝が崩れて終わり。・・・・どっかで見たぞ、この終わり方!(笑)
 ずるいよ! なんで、愛の腕の中で終わってるの、ずるすぎるっっっ!! ここはなんか大事なもんでも渡して、そのまま倒れるのが、梶原一騎の男のバカみたいな美学なんじゃなかったのかー!! 誰にこれは抗議すればいいんだ!!
 え〜、羨ましい反面、ちょっとねぇ、最後のキスシーンには引きました。ここまで全く共感は出来ないながらも、男臭い硬派の男の美学とやらを、それだけをひたすら延々と唱え続けてきて、なんだよそれって感じです。ケンシロウのキスシーンは別に誰も見たくないでしょ、そんな感じ。まったく、今までのはなんだったんだ。
 梶原一騎にとって、ブルジョア令嬢という設定は、神聖不可侵な憧れと憎悪の対象のようです。愛がブルジョア令嬢ではなくなったので、男のプライドとやらが傷つかず、誠に告白させることができたのでしょう。てことは、白木財閥がぶっつぶれてボロボロだったら・・・・・・。いけたかもしれないね。そうだねー・・・、葉子が何もかも失っていたら、丈は何やかんや言っても優しいので、何かあげられるものはくれたかもしれない。でも仕方ないか、別に葉子は何を失う必然性もないしねぇ。あーあ。しかし必然性からすると、愛の父親が汚職に絡むのも唐突に過ぎるので、あれは誠が告白出来るようにただそれだけのために、ひねりだした展開ですね・・・。
 金があったからって、愛はともかく、葉子は全然幸せそうじゃなかったです。親も不在だし、やたらと恩着せがましくボランティアする姿は彼女自身が愛情に飢えているように見受けられます。だけど、やっぱり梶原一騎にとって、「金=幸せ=勝ち」であって、それに主人公の男が膝を屈する訳にはいかないのでしょう。それは、彼だけではなくて、あの頃の時代の価値観だったような気もします。